9月9日(土)、さわやかな秋晴れの下、高畠町有機農業提携センター(以下、提携センター)と、提携する消費者団体の方々との現地交流会が行なわれました。
現地交流会とは、普段都会で暮らす消費者団体の会員が高畠へ来て、生産者とともに田んぼや畑を見てまわり、「農」の現場について理解を深める場です。今回は東京、埼玉、兵庫、福島から7団体が参加されました。提携センターと各消費者団体とのつながりは、すでに40年余になります。
「提携」は、単なる農産物の売り買いではなく、生産者と消費者が直接むすびつき、信頼関係を土台としてお互いの顔が見える関係を築くことを大切にしています。
そのために、生産者と消費者が直接会って話し合う、重要な機会のひとつが、現地交流会です。
当日、高畠駅で、生産者が消費者を出迎えます。再会の瞬間は、まるで里帰りしてきた親戚同士のような賑わいです。それから車に分乗して、各生産者の田んぼ、果樹園、野菜畑を巡回します。ここで、今シーズンの生育状況を話したり、作業を実際に見てもらったりするのです。
生産者からは、今年は「非常にむずかしい年」であったと話がありました。全国的に天候不順が続きましたが、高畠でも、5月6月の猛暑、雨の降らない梅雨、夏の長雨・日照不足と、思うように作業ができない日々が続きました。除草をしたくてもできなかったり、果樹では袋がけが遅れたり。全体的に生育も遅れましたが、大きな被害はなく無事収穫期を迎え、今はようやくひと安心というところです。
このように、スーパーで商品を手にするのでは知ることのできない、苦労話、農に携わるよろこび、作物に込める想い…生産者の生の声が聞けるのは、直接つながる「提携」ならでは。
消費者会員からも「自分の住んでいるところで雨が続くと、高畠はどうかなといつも気になっていた」との声があり、都会での暮らしのなかにも「たかはた」があることを感じます。また今回、初めて高畠を訪れたという方も。「籾殻を敷いて泥がはねるのを防ぎ病気を予防しているという畑を見て、農薬を使わないで栽培する工夫を知ることができた」「普段自分が食べているものを、どんな人が、どんなところで、どんなふうに作っているのか分かって良かった」などと感想を述べられました。
園地巡回が終わると温泉で汗を流し、そしてお楽しみの交流会です。提携センター女性部が、旬の食材を持ち寄り腕をふるいます。山形の秋の名物「芋煮」に採れたてのりんごやぶどう…ご馳走が並びました。
乾杯はたかはたシードルで。
澄んだ空一面に星が輝く夜。やさしい月明かりに照らされ、笑い声は遅くまで響いたのでした。
ところで、この現地交流会、以前は縁農(援農)として、りんごの袋がけや稲刈りなどの農作業を手伝ったものでした。しかし、消費者会員の高齢化により、20年程前から現在の形態になっています。これまで、他にも様々な問題に直面しましたが、その都度話し合いながら乗り越えてきました。そこには、生産者は消費者の食卓を、消費者は生産者の生活を守っているという共通認識があります。だからこそ40年という長い間、提携運動を続けることができているのです。
これからもこの「提携」が継続し、さらに広がっていくよう、たかはた共生プロジェクトでも活動を展開していきます。