元気、有機、高畠
山形県高畠町は“まほろば”の地といわれてきました。「まほろば」は、古事記などにしばしばみられる“まほら"という古語に由来する言菓で、「丘、山に囲まれた実り豊かな住みよい所」という意味を持っています。現在では「素晴らしい場所」「住みやすい場所」という意味で使われています。“まほろば”の里、高畠は有機農業による「提携」運動の原点です。
「提携」は、単なる「商品」の産地直送や売り買いではなく、人と人との友好的なつながりを築くなかで、生産者も消費者も、「有機農業がはぐくむあらゆる命のつながりを意識し、それに感謝する」、「自給する農家の食卓の延長線上に、都市生活者の食卓をおく」「一物全体食」、「身士不二」などに努めるものです。また、交流や体験をつうじて、農業を理解し、互恵精神に基づき、話し合いで価格を決めたり、学習活動を菫視するなど、理想に向かって、ともに自然を大切にした有機的な生活を目指すものです。東日本大震災後の東北農村は厳しい状況に置かれていますが、本物の農村づくりに勇気を持って挑戦する、悠気(ゆったりした力)のある「提携」を続けます。
「提携」は海外でも有機農業の生産消費の場面で注目されています。日常生活は市場経済のなかにあっても、家庭内の「食」と「農」は、「提携」で農家とつながる、というオルタナティブな生き方の実践方法は、これからの地域農業の未来を担うものと確信しています。